サンティアゴの街

無事馬に乗りおわってバスでサンティアゴ
の街にもどってきたのは、もう8時前。
行きと違う場所に着いて、わけがわからない。

「カテドラルはどっちですか?」と聞くと、
「わたしも行くところだから。」
と、連れて行ってくれましたが、
10分以上もかかる道のり。
ひとりではとても無理でした。
まだ知らなかった街の広場。






実は広い街なのですね。
人口10万人!
1100のレストランやバル!
多すぎてどこに入ればいいのかさっぱり
わかりません。

とりあえず、入ったお店。
ほんとはリゾットが食べたかったのですが、
なくて、なぜかスズキのから揚げを
食べることに。
新鮮でおいしかったけど、
またもや、オリーブオイルの海に浮かぶ
ポテト。





ものすごくたくさん並ぶ食べ物屋さんの
水槽やウインドウのぞきながら、帰り道

「ここの店はサイコウだよ。
世界一のフレンチ・フライを出すよ!」
背中から声が。
フライド・ポテトが最高って、アメリカの人?





また、次のお店をのぞいたり。






もう9時近いかな。
大聖堂も夕闇の中。




いつもギタリストがいる回廊。
ここまでくればもう安心。

宿に帰るには、ここを左に曲がって。。







石段を登って右。。

それから、あと、5,6回曲がります。





藍色の空の下の石畳の街。
横尾忠則が描きそうな、Y字路。

ほ〜っとうっとりながめてしまう。
ゴッホの色合い。





ん?なんだか道がよくわかりません。
右に3回曲がれば元の道に戻るはず

が、道がくねくね平行ではないので、
いつまでたっても、迷い道。





怖いということはないのですが、
道を聞くにも、まわりに誰もいません。
まるで覚めない夢の中のよう。
どれくらい時間がたったのでしょう。

村上春樹の「海辺のカフカ」だったでしょうか。
ひとけのない石畳の街を一人歩いて
いたら、そこはもう、現実の世界ではなかった。。







ぐるぐる、ぐるぐる。。
どうすればいいのでしょう。。
そのうち、ん?
かすかにギターの音が聞こえてきます。
あ!あの回廊が近いんだ!
音のする方へ、必死に急ぎます。

静かにまわりの空気に溶け込むように
ギターを弾く人。
しばらくギターの音に気持ちを落ち着けて、
小銭をおいて、そっと歩き出します。
わたしがいるのも、気がつかないよう。
さっきは、最後の角をひとつはやく曲がり
すぎたのでした。





こんなふうに、もう行く道を尋ねるひとさえ
まわりにいなくなったとしても、かすかなギター
の音に耳を澄ますようにしていれば、きっと
目的の場所にたどり着けるのですね。

馬のリンド君、ギターの音。。
ことばではないものと、つながっていた旅でした。